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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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そんなひも

謝りはするが足を離そうとはしない。むつは足を掴まれたまま、ずりずりとはってでも逃げようとしている。だが、ずるずるっと引き戻された。


「…神様のする事じゃないですよ?」


「私の事が分かるのか?」


うつ伏せから仰向けになったむつは、こくりと頷いた。ふくよかな顔に釣竿、狩衣姿で人ではない。そうなると、むつに思い付くのは1人しかいない。


「えびす様。七福神のお1人の」


「若い子が七福神を知ってるなんて…ちょうどいい!!私の話を聞いてくれ‼」


「嫌、無理」


「無理じゃない‼ここで会ったのも何かの縁だと思って‼少しぐらい付き合えってくれてもいいだろうに」


「神様の少しって、あたしらからしたら少しじゃないもの‼それに神様と易々とお付き合いなんて出来ないわよ‼だいったい、その狩衣姿で喫茶店入ってお茶でもーなんて無理でしょ?ここじゃ寒いわよ‼座れって、固いしお尻冷えるじゃないのよ。女の子は身体冷やしちゃいけないのよ‼」


きぃーっと奇声を発しそうな勢いで、むつは捲し立てるように言った。相手が神だと分かっていても、転ばされたことに腹が立つのか遠慮なく文句を言っている。


「だったら、じゃあ…お嬢さんの仕事場で」


「むーりー。仕事場っても今日は、人の仕事場を借りてるのよ?その人に何て言うのよ?それに迷惑だわ」


「迷惑って…か、仮にも福の神を迷惑扱いとは…皆、福を求めて参拝するというのに」


「どうせ、初詣か困った時の神頼みってやつでしょ?そんなのと一緒にされたくないわよ」


「確かに。ふぅむ…確かに…意外とばっさりしてるな。福を求めるのが人だと思っていたが」


「福って何よ?あたし幸せだもん。大丈夫。それに神様から何か与えられるって事は、それなりの見返り求められるわけだし…ってなったら、何もしないから何もいらないのが1番。お分かり?」

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