表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
801/1310

そんなひも

声をかけるべきじゃなかったと思ったむつは、ゆっくりと後ずさった。人じゃないのは分かっていたが、まさか釣竿を持った狩衣姿の男だとは思わなかった。


「まぁまぁまぁ、待ちなさい」


がしっとコンビニの袋を掴まれ、むつは困ったような笑みを浮かべた。待ちなさいと言われても、待ちたくはない。最近は体力もないし走るのが、前以上に遅くなった気がするが、今なら50メートル走の最高記録が、出せそうなくらい走れそうな気がしていた。ヒールが少しあるが。


「…いや、私も忙しいので」


「声かけたくせにか‼」


「体調悪いのかと思ったんです。でも、お元気そうで何よりです…お顔もふっくらされてますし」


「それは元々。まぁお嬢さんお座りなさいよ」


座れと言われても、コンクリートの冷たい所に座りたくはない。それに、やはり何と言っても帰りたくて仕方ない。


「帰らないと…仕事中なんです」


「仕事?何の?」


「えっと…今は写真の現像をしてます。夕方までには作らないと、皆に渡せないんです。なので、帰ります‼」


ばしっとコンビニの袋を剥ぎ取ったむつは、さっさと帰ろうと背中を向けた。だが、今度は足首を掴まれた。そして、見事にびたんっと顔から転んだ。


「あぁ…ごめん、ごめん…大丈夫?」


「痛い…」


ゆっくりと顔を上げたむつは、うつ伏せになったまま振り返って睨んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ