そんなひも
だが、それも慣れた事なのかむつは、はいはいと聞き流してカウンターの中に入っていった。
「で、今日は暇だったの?」
「そんなわけないじゃない。趣味で撮った写真の現像をしてたのよ。ちょっと見る?」
「見たい‼」
いそいそと上着を脱いだむつは、適当にハンガーにかけて奥村の持ってきたネガを見ていた。
「あたし、おっちゃんがデジタル化しないでネガで撮るっていうこだわり持ってる所って好きだわ。昔からの写真屋さんって感じで」
「趣味の方だけよ?仕事ではデータ化させてパソコンに取り込むもの…その方が早いからね」
「うん。でも、ネガって失敗したのも含めて全部残るじゃない?だから好きだわ」
むつは机に置いてあったルーペで、ネガを見ている。写真を見るその目が優しげでいて、とても真剣なのを知っているのは、奥村だけだろう。
「むつちゃんも写真を仕事にしたらいいのに。楽しいわよ?食っていくのはキツいけどね」
「だろうね。好きを仕事にしたら、嫌いになっちゃいそうだから…写真は趣味のままでいいよ。あ、また撮影行く時は教えてね?一緒に行きたい」
「はいはい。さ、むつちゃんも自分の仕事に取り掛かりなさいよ?」
「はーい」




