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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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そんなひも

「いや…お礼としての招待状ならお前の所にも届いておかしくないと思うのに、事務所に来たからな…それに、妖のパーティーに呼ばれるなんてな…ちょっとおかしい気がするんだよな」


「そうですか?サンタクロースが主催のパーティーで、妖慣れしてるから大丈夫だろうって事でお礼も兼ねただけ、って事だと思いますよ?俺も手伝いしたから、よろず屋の一員だと思われたんでしょう。だから、来てなくてもおかしくはないですよ。何か考え過ぎてませんか?」


「そりゃあ…深読みもするさ。地蔵の件、むつの様子がおかしかったってみやから聞いてるからな。能力が使えないのに、1人で鬼を…それもなぶってるようだったって聞いてるからな」


「むつが人じゃないとでも?」


「………」


山上は何も答えずに、粕汁をすすった。西原が睨むように、山上を見ていると椀を置いた山上は、溜め息を漏らした。


「鬼がどの程度の鬼だったかは知らん。でもな、その鬼の目を手でえぐり出すのは…人の所業か?」


「それは…」


実際に、鬼がどのような物であったのかを見ている西原は言葉につまった。自分は途中からの記憶がない。それだけに、むつが何をしてどうなったのかがあやふやになっている。ただ、自分は1度死んだが、地蔵の手によって魂を肉体に戻して貰った、という事を聞いているだけだった。


「人の所業じゃなくても、むつは人です。あの時、何があったのか俺は知りませんが…むつは…」


人ですと言った声が、思いの外小さく西原は溜め息をついてしまった。鬼をなぶっていたと、目をえぐり出したと聞かされると、人ではないように思えてしまう。その残酷な行いは、人に簡単に出来る事ではない。だが、それをむつがしていたとなれば、人とは思えなくなってくる。


「理性より本能のが強くなってたのかもな。お前が死にかけてたのは、自分のせいだって思ってたみたいだし…それで…かもしれないけどな。でも、その行動が本能的な物だとしたら…残忍すぎる」

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