そんなひも
ぱちんっと箸を割った山上は、具沢山の味噌汁に手をつけた。ごろごろとしあ野菜が入っていて、かなりのボリュームがある。
「粕汁か…うまいな」
「冬場はよく作ってくれるんです」
ほくほくの里芋を頬張り、西原はほっとしたような表情を浮かべていた。
「それで、昨日のパーティーがどうかしたんですか?京井さんの所にも招待状が来てたってむつからは聞きましたし。会社がらみのだと思ってましたけど…天狗さんも何か会社をやってましたっけ?」
「いや。夕雨さんは今時珍しい立派な修行僧だぞ?会社関係じゃなくて…妖たち向けのパーティーだったんだ」
汁をすすっていた西原は、ぶはっと吹き出した。椀を置いて、すみませんと謝りながら西原はおしぼりでテーブルと口元を拭った。
「そりゃあビックリするよな。俺もびびった。仕事柄、会わないわけじゃないけどな…うちの3人は平然として楽しんでたし」
「まぁ…でしょうね。何が何だか…俺にはよく分かりませんけど…」
「そうだな。結論から言って、妖だけのパーティーに呼ばれて、メインイベントに参加して、そこで京井さんと夕雨さんが喧嘩して、イベントは潰れたけど無駄に盛り上がってな…収集つかなくなって帰りが遅くなったんだ」
「はぁ…そうですか…でも、何でですか?専門家かもしれませんが、妖でもない山上さんたちが招待されるなんて…」
「…西原の所には招待状来てないか?」
「来てませんよ?俺は専門家じゃないですし」
そうかと呟いた山上は、ふっくらと焼き上がっている塩鯖に箸をつけた。ふわっとした身は柔らかく、魚臭さも感じられない。
「…ざっくり言うとな。招待状をくれたのは、サンタクロースだったんだよ。代行のお礼にってな…だから、お前の所にも届いたかと思ったんだけど」
「それは、よろず屋として仕事の依頼を受けたから、お礼として招待状が届いたってだけの事じゃないですか?」
「だと思うけど…」
「何が気になってるんですか?」




