そんなひも
熱い茶をすすり、山上が吸っているタバコの煙を目で追っている西原は、少しぼんやりとした様子だった。
「気になるか?」
「え?あ…はい。俺、何かしましたか?」
「…むつが謝ってきたのに無視してるだろ?」
西原が答えにつまると、山上はやっぱりという顔をして、煙を西原に吹き付けた。煙たそうに手で払いながら、西原は小刻みに頷いて見せた。
「許してやれよ。昨日も帰ってきたの2時過ぎてたんだ…その原因は京井さんと夕雨さんだけどな」
「…別に…怒ってるとかじゃないんですよ?夜中のうちに、連絡もありましたし…ただ、後回しかって思うと面白くないだけで」
「あ、拗ねてるのか。なぁんだ…むつが携帯気にしてたから、西原が怒って返事も寄越さないのかと思ってた」
「確かに…返事はしてません」
「返事してやれよ」
呆れたように笑った山上は、最後の一口を吸うとタバコを灰皿に押し付けた。
「そのうち…で、昨日は何があったんですか?京井さんと夕雨さんって…夕雨さんは、確か天狗の?あの、害虫を発生させて京井さんに嫌がらせをした…?」
「お、そうそう。覚えてたんだな。その夕雨さんも来ててよ。ちょっと2人が喧嘩になっちまったんだよな」
昨夜の事を思い出してか、山上はくっくっくと笑っている。むつの帰りが遅くなり会えなかった事と、京井と夕雨の喧嘩がどう関係してくるのか分からず、西原は首を傾げた。
「昨日のパーティーなんだけどな…」
山上が言葉を切ると、女性がお盆を持ってやってきた。2人の前に定食を置いて、急須を置いた女性はごゆっくりと言ってさっさと奥に引っ込んだ。




