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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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そんなひも

むつは1度コーヒーをいれに立ち、ついでにタバコを吸って休憩をしてからは、ずっとパソコンとにらめっこしていた。そして、何やら指折り数えては、メモを取っている。そして、何かを思い付いたかのように顔を上げた。


「ねぇ社長?今日のむつの仕事は写真の整理なんだよね?夕方までには出来たら良いんだよね?」


「ん?あぁ…それがどうした?」


「んー?ちょっと、ね…」


何か考え事をしていたむつは、1人で頷いていたり、首を傾げたりしている。山上もだが、颯介と祐斗もどうかしたのかとむつを見ている。


よしっと粒やいたむつはコーヒーをすすりながら、かちかちかちかちかちかちっと物凄い勢いで、マウスを動かし始めた。


「何か地味すぎて怖いっす」


「連打しすぎだよね」


じっと画面を見つめたむつの目は、瞬きもあまりせずにマウスに合わせてか、きょろきょろと動いている。地味に連打する音が続き、冷静で怖いくらいのむつの目が細くなり、素晴らしく早く動いている。見ているだけで、目が回りそうだった。


たんっとキーボードを叩いて、むつはマグカップを持ってキッチンに行きタバコを吸ってから戻ってきた。颯介、祐斗、山上は、むつが何をしているのかと気になって仕方ない様子だった。


「じゃあ出掛けてくるから」


鞄に携帯とタバコ、パソコンから抜いたUSBを持って上着のパーカーを羽織ると、くるくるっとマフラーを巻いてむつはさっさと出ていった。


「…あいつ、どこに行くんだ?」


「印刷しにじゃないですか?たぶん…何か悩んでたみたいなんで、よく分からないですが」


「あ、写真な。ふぅん…よしっ、今日は夕方に仕事終われるなら自由行動な?俺も出掛けてくるから」


「久々に一勝負ですか?」


「おう。今日は自転車な」


からからと笑って山上も上着を羽織って、機嫌良さそうに出ていった。


「自由行動って…誰かは居ないと電話鳴った時に困るやつですよね?」


「そういうやつ。仕方ないから、交代でお昼休憩取ろっか…」

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