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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

「山上さんの変な高笑いが響いてますね。劇団の悪役みたいな笑い方してますが、何かあったんでしょうか…」


「きっと、社長なりに状況を楽しんでるんだと思うよ?変な所でテンション上がる人だもん」


颯介と山上、3人の使用人が完全に見えなくなり足音も聞こえなくなると、立ち止まった京井は、むつを下ろした。


「さて…どのくらい登ってきたんでしょうか…外から見た感じあっても4階までに思えましたが…」


「見た目と中身が違うわね」


階段を駆け上がってきた京井は息こそ切れてはいないが、少し疲れたような様子だった。それもそうだろう。終わりがないくらい、続いている階段をむつを抱えたまま、走ってきたのだから。


「…あたし、この前、こんな経験したわ」


階段を見上げながらむつはぼそっと呟いた。ほんの2日ほど前、永遠と続くような階段を上っていた事を、むつは思い出していた。


「あ、でも…そうね。あの時は建物も天辺が見えないくらい高かったけど…雰囲気は似てるかも」


「どこに行ってきてたんですか?」


「ん?ほら、サンタさん代行。あの時、サンタさんのお屋敷もこんな風にずーっと階段があったなぁと思って」


「そこも…やはり空間が違う所でしたか?」


「うん。たぶんね…トナカイに乗ってしか行き来してないから…あれだけど…」


「サンタクロースのお屋敷ですか…」


「…どうかしたの?」


「え、いえ…妖ですから。サンタクロースとは無縁な歳月だったなーと。本当に居るんですね、サンタクロースって」


「うん。居たよ。やっぱり、大きなおじさんだった。顎髭ふわっふわだったし…風邪で寝込んでたけど」


「サンタクロースも人並みですね」


追っ手がないのを良い事に、むつと京井は休憩がてら、くすくすと雑談に興じている。すると、下の方からぱんっと音が聞こえた。そして、ややあってからざりざりとした音が聞こえてきた。


「3人が捕まりました。逃げ残った方は、パーティーホールにお戻りください」


「あ、終わったんだ…颯介さんと社長は逃げきれたのかしら?」


「大丈夫でしょう。さ、戻りましょうか」


ひょいっとむつを再び抱き上げた京井は、階段を1段ずつ下りるのは面倒なのか、たんっと飛び降りていった。






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