てがみ
「ところで…い、じゃない…わ、ワンさんとスズキさんはどういったご関係ですか?あ、あの差し支えなければ…スズキさんも普通の人とは少し違うようですし…」
「私とスズキさんですか?」
京井がどう答えたらいいのかと悩むように、むつを見た。
「友達」
事も無げにむつは答えて、シャンパングラスに唇を押し付けながら辺りを観察している。
「…そうでしたか。いやはや…はっきりと友達と言える仲ですか…羨ましい限りで…」
「…妖って友達とか作らないの?」
むつが不思議そうに言うと、京井とぽんと呼んでくれと言った男が、顔を見合わせた。
「基本的には単独行動ですよ。人のように社会を形成する事もありませんから」
「そうですね。社会に出て生活していたら、他の妖と出会う事はあっても一緒に何かしたり…こんなに多くの妖が集まる事ってありませんし…ワンさんとスズキさんが一緒に居るのは不思議な事です」
むつは、ふぅんと言った。飲食店をやっているなら、ぽんも人との接点がありそうな物だが、むつと京井のように一緒に出掛けたり何かするような仲の人との出会いは、なかなか無いのかもしれない。
「…ま、あたしは変なんだよねぇ」
「否定しにくい事ですね」
京井がくすっと笑いながら言うと、むつはばしっと腕を叩いたが痛くはなかったようで、くすくすと笑われただけだった。
「あ、社長戻ってきた。社長は何て呼ぶ?」
「社長でいいんじゃないですか?」
「あとの2人は?」
「…くださんとれいさん?」
「どっから来たの、それ?」
「管狐持ちと霊感少年」
「…最近、管狐は顔見せてくれないんだよねぇ…嫌われたかしら?」
ほぅっとむつが溜め息をつくと、京井はさぁと首を傾げるだけだった。




