てがみ
「ふぅん…名前も姿も偽ってか…」
何が面白いと思ったのか、むつはにやりと笑みを浮かべて見せた。
「ぽんさんの所に届いた招待状にも、差出人の名前は無かったんですか?」
「はい、ありませんでした。でも、人からの招待状じゃない気がしたので…まぁいいかと思って、軽い気持ちで来たんですが」
「ちなみに、ぽんさんお仕事は?」
「小さいですが、飲食店を」
「じゃあ、お店に招待状が?」
ぽんが頷くと、むつはそっかと言った。最初の猫なで声がなくなり、普通に喋るようになると、むつも大丈夫になったようで、少しでも情報を得ようと話し掛けている。
「ぽんさんは、お1人で来てますし…他の方とも話をしてきたんですよね?何かパーティーについての話は聞けましたか?」
「はい。何度か来たという方も居ましたよ。何かこの後に催しがあるようで…それが目的なようです」
「催し?」
「はい…それについては誰も教えてはくれませんでした。参加するもしないも自由で…楽しみにしといたらいいと言ってました」
「妖が楽しみにする催し物ねぇ…」
何かしらと、むつは下唇を触りながら悩んでいる。2人の妖にそれって何?という視線を向けたが、2人とも来るのは初めてでさっぱり分からないという顔をしている。
「催し物があるなら、主催者も見れるって事よね?それに、参加するもしないも自由か…ビンゴ大会?」
ふぅんと言いながら、むつは周囲を見渡した。何か催し物を楽しみにしているような浮き足だった感じはないし、それぞれ好きな相手と話をしているようにしか見えない。
「…ま、3人が戻ってきたら何か分かるかもしれないわね」




