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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

そう言って、グラスに口をつけた京井は何やら真剣な表情になっていた。香りを嗅いだり、もう一口ゆっくりと呑んだりしている。


「どこのでしょうか…これは美味しい」


どうやらシャンパンが美味しいらしく、自分の店でも置きたいと考えているようだった。京井が美味しいと言うならばと、むつも口をつけた。しゅわっとした微炭酸と、甘くすっきりとした口当たりで呑みやすい。


「確かに、美味しいかも。初めてでも全然、違和感なく呑めちゃうわ」


「なかなかレベルの高いパーティーですね。ある意味、来て良かったかもしれません」


「遥和さんお仕事モードになってる?」


「…少しだけ。やはり、良いなって思う物をお出しして、共感して貰える事が嬉しいですから」


照れたように京井が言うと、むつは少しだけ驚いたような顔をして見せ、笑みを浮かべた。


「遥和さんってば本当に人が良いわね」


シャンパンを呑み干したむつは、通りかかったボーイにグラスを返した。そして、他の3人はどうしてるかなと辺りを見回した。あんなに来る事を渋っていたのに、祐斗は料理に舌鼓を打っている。山上と颯介は辺りをそっと見ながら、シャンパンを呑んで何やら話をしているし、それぞれそれなりに楽しんでいる様子だった。


「むつさん、むつさん…これ美味しいですよ」


テーブルにはオードブルが並んでいるが、暖かい料理もあるようでそれらは調理人が目の前で作り、切り分けて皿に乗せている。


「楽しんでるわね」


祐斗が嬉しそうな顔をして、皿に乗っているローストビーフを差し出してきた。食べやすいように、くるっと巻かれたローストビーフにはとろりとしたソースがかけられている。むつは皿を祐斗に持たせたまま、フォークを取って1つ口に入れた。

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