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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

「…むつの支度は時間かかるな」


「すみません、私とした事が。ネイルの事をすっかり忘れてました。でも、指先から爪先まで美しい方が隣にいると、男としても鼻高々じゃありませんか?私は、綺麗なむぅちゃんが一緒ですからね、周りに自慢出来そうですし、エスコートのしがいがあって嬉しいですよ」


「確かにそうですが…」


山上は溜め息混じりに、隣のむつを見た。京井の言う事が最近、晃に似てきた事が気にはなるが、確かにメークもセットもばっちりで、ドレスも嫌味なく可愛らしくも落ち着いた雰囲気があり、むつの顔にもよく似合っている。


京井の忘れていたネイルは、フレンチネイルで、白が貴重となっていてストーンも散りばめられていているが、シンプル。スカルプ仕様で、少しだけ長さを出してあるからか、指がほっそりとして見えて綺麗な仕上がりになっていた。


「…女の人ってさ、パーティー行ったり合コン行くたびに服はあれだけど…髪の毛して顔をやって爪やってって…大変そう」


「お前もその女の人だ」


「まぁそうだけど…仕事柄こんな風にネイルなんてあんまりした事ないし」


「プライベートでしろよ」


「スカルプなら付けたり外したり出来るもんね…でも、それがめんどうよねぇ」


「そのスカルプならお仕事にも支障ないと思いますよ?自爪が伸びたらやすりで整えれば、スカルプが取れない限りは大丈夫ですよ」


「だね…まぁまぁ頑丈についてるもん。でもストーンつけるの初めて…ちょっと重たい気がする。睫毛も慣れてないから瞼が重たい…」


「…慣れてください」


「はい…」


京井の運転する車に、むつと山上。後続の車に颯介と祐斗と分かれて乗り、4人はパーティー会場となる場所に向かっていた。

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