てがみ
通話を終えたむつは、ふぅと息をついたが口元にしっかりと笑みが浮かんでいる。
「楽しそうだな?あ?」
「うわっ…社長…いつ来たの?」
「ちょっと前に。ドレス綺麗でしょ?ってお前が言ってた辺りからだな」
「…ほとんど全部聞いてたわけね」
どかっとむつの隣に座った山上は、黒いシャツにむつと同じワインレッドのベストを着ている。どう見ても、堅気の人間には見えないが顔の胡散臭い雰囲気もあってかよく似合っている。
「みやか?」
「…先輩」
「西原?西原に迎えに来て貰うのか?」
驚いたような山上は、まじまじとむつを見ている。いつもは細い目が真ん丸くなっていて、本当に驚いているんだという事が分かる。
「…お前…まじか?まじで西原で良いのか?」
「迎えに?本人が来てくれるって言ってるゆどから…良いんじゃないの?」
「そうじゃないだろ?最近、本当に仲が良いんだな…地蔵の一件から急に距離が縮まったよな?一時期はお前が避けてる様子だったのに。どうした?」
「どうしたって…分かんないけど」
「好きになったか?」
「ちょっと…前より…たぶん」
「たぶんって…みやは?」
「そりゃあ…ずっと1番はしろーちゃんよ?でも、ちょっと最近違うのかな…?好きっていうのが、よく分かんない」
「分かんないって…」
「だーってさぁ?皆好きだもん。ライクとラブの違いが分からなくなってきたの。とりあえずアガペーなの」
「とりあえず人間愛か」
「そーゆー事」
「…ったく、西原も可哀想に。都合よく使って、捨てるとかやめろよ?あれでも俺の大事な元部下だからな」
「そんな事はしないわよ…あたしにとっても大事な先輩なんだからさ…」




