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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

京井に言われた通り、むつは1階のロビーにやってきたが、何となく落ち着かない。男だから、早く支度を終えて誰か来るだろうと思っていたが、なかなか誰も来ない。ふかふかのソファーと普段なら先ず着る事のないドレスのせいか、心許ない気がしていた。


ふぅと息をついたむつは、ハンドバッグから携帯を取り出してみた。メッセージが、何通も届いている。山上はむつの兄である晃と冬四郎に、祐斗は菜々と西原に写真を送ったようで、その事に関してのメッセージだった。


思った通り、晃はむつのドレスアップされた姿に相当喜んでいるような感じだった。冬四郎と西原、菜々はわりと普通で何かあるのかと、聞いてきている。むつは長男の晃を無視して、3人にはパーティーに行くのだと返事をした。仕事が早くから冬期休暇に入っている菜々は、しばらくむつの所に転がり込んでいたが、今朝から実家に戻っていて羨ましがるような返事がすぐに来た。むつは、くすくすと携帯の画面を見ながら笑い、返事を送った。


「………」


返事を送ってすぐ、携帯が鳴り出した。メッセージではなく電話で、それも西原からだった。出るか少し迷ったが、むつは切れる前にと出た。


「はーいー?」


『…何だよ、その間延びした返事の仕方は。ドレスアップしてんのに、意外と気合い入ってないな』


「気合い入れてどうするのよ?」


『綺麗に装ってるから、何か気合い入れてんのかと思ったんだよ。そんなに乗り気じゃないのか?』


「そんな事はないよ。楽しみは楽しみ。パーティーなんて行く事ないし、皆で行くからさ」


『皆って?』


「社長と颯介さんと祐斗と遥和さん。遥和さん所にも同じ招待状届いてたから」


『あー…会社絡みのクリスマスパーティーってやつか?肩凝りそうだな』


電話越しに西原が、くつくつと笑っている。


「で、何の電話よ?」


『え?いや…んー?どんなパーティーに行くのかと思ってさ。合コン的なパーティーなら、行くのやめて貰おうと思ったんだよ』


「…そんなの行くわけないのに」


『クリスマスだし…ドレスアップしてるし…心配になったんだよ。綺麗だからな』


「うん、ドレス綺麗でしょ?貸衣裳だけど」


『ドレスじゃなくて、お前がな。ドレスが綺麗なのは当たり前だろ?装いなんだから』


「………」


『…何で黙るんだ?』


「何か恥ずかしっ‼って思ってさ…で、電話してるけど先輩仕事は?終わってるの?」


『あぁ終わった。何事もなく』



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