てがみ
「…うぅわっ…むつ、全然違うな」
「大人っぽい仕上がりになったね」
「喋らなかったらモテそうですね」
入ってきた3人は口々に言った。最後の祐斗の余計なお世話にむつは、不服そうに唇を尖らせたが何も言わなかった。
「晃に見せてやりたいなぁ。泣いて喜んでくれると思うぞ?」
「やめて。冗談に聞こえないから」
むつは4人居る兄の中の長男の事を思い浮かべながら、本当に泣いて喜んではくれそうだが、鬱陶しそうだと思っていた。だが、山上は晃に見せる気になっているのか、携帯のカメラを起動させてカシャカシャと写真を撮った。
「あ、俺も撮ろっと。朋枝さんと西原さんに送ってあげないと」
「…見世物じゃないわよ?」
「じゃあ、俺は記念として」
祐斗がカメラを向けると、便乗するかのように颯介もカメラを向けた。
「もーっ‼遥和さん、何とか言って」
「まぁまぁ。ドレスアップ出来る機会なんて多くはないですし。良いじゃないですか?お綺麗ですよ、本当に」
京井に誉められると、むつは少し恥ずかしそうにもじとじとして、顔を伏せた。その耳までほんのりと赤くなっているのは、本当に恥ずかしがっている証拠だった。
「さて、むぅちゃんの支度は終わりましたし、皆さんも着替えて支度をしてくださいよ。むぅちゃん、1階のロビーで待ってて頂けますか?荷物はこのままでいいですから。貴重品だけ持って」




