てがみ
「去年もさ、招待状届いてるなら…何か意味はありそうじゃない?うちんとこは初めてきたけど」
「意味もなく送ったりはしないと思いますが…」
「それに…」
水を一口飲み、むつはコップを机に置いた。そして、机にある鞄の中から封筒を取り出した。むつは京井の手を取って、封筒の表側が見えるように手のひらに乗せた。
「消印がないの。って事はさ、ポストに直接入れたって事になると思わない?」
「…なりますね。相手は、我々の事を知っているという事でしょうか?」
「可能性はある」
「ますます、関わりたくない気がします」
「でも、相手を確かめておく必要もあるんじゃない?知らない相手に、勝手に知られてるのは…」
「気持ち悪いですね。ストーカーされてるようなもんですから」
「うん。この先に、何かが起きてからじゃ遅いかもしれないから。面倒事の芽は早めに摘むべきかなって思う」
「…そうですね。私も会社を経営している以上は、犬神だとバレては困ります。相手を知っておくべきかもしれません」
封筒を机に投げるように置いた京井は、目を細めて怖いような笑みを浮かべていた。
「私もご一緒します」
「…うん。遥和さん一緒なら、パーティーの作法?分からなくても安心だわ。教えて貰えるし」
「安心するのはそこですか?」
「ん?勿論、色々…甘えてばっかりで申し訳ないと思うけどさ、頼りにしてるの」
「それは何よりです。さて、そろそろ準備しましょうか?むぅちゃん、貴重品持ってください。服はこのままでいいですから、下着は身に付けて。ヘアメイクの者を呼びますから」
「はーいっ」




