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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

どのくらい眠ったのか、むつはもぞっと身動ぎをして起きた。やけにベッドが広く寂しく感じられ、ぼーっとした頭で何でかと考えていた。昨日、眠った時は西原が隣に居たし、こさめが帰ってからは菜々と一緒に1つのベッドで寝ていたせいかもと思った。だが、だんだんと眠気がひいていくと、京井のホテルのベッドだから広いのかと納得した。


もぞっと起き上がったむつは、ぼっさぼさになった髪の毛を手で押さえて、そうっと部屋のドアを開けた。廊下には誰も居ない。だが、団体の客でもいるのか楽しげな、ざわついた雰囲気は下からしている。むつはドアノブに入浴中の札をかけて、風呂場に向かっていった。湯船に湯をためながら、全身をゆっくり洗い、ちゃぷっと湯につかった。先日の旅行といい、今回といい京井にはかなり世話になっている。むつは、その事を感謝しつつゆっくりと湯につかって、疲れた身体をほぐしていった。


風呂から出たむつは、バスローブを着てバスタオルで髪の毛をくるっと巻いてドアノブの札を外した。タオルドライしながら、ゆっくりタバコを吸っているととんっとんっとドアがノックされた。裸足のまま、相手を確認せずにむつはドアを開けた。


「…っと、出たばかりでしたか?すみません」


「ううん、大丈夫」


「宜しいですか?」


むつが少し身体の位置をずらすと、京井はするっと部屋の中に入った。ぱたんっとドアを閉め、むつは鍵をかけた。


「どうしたの?」


「………」


京井は少し目のやり場に困るように、むつを見たり部屋を見回したりした。落ち着きのない京井に、むつは服をまとめてベッドに置いて布団を被せた。


「…お風呂出てから、すぐには服を着ない人なんですか?」


「まぁね。気にしないで」


ぺたっとベッドに座ったむつは、それでも足元と胸元は隠すように前をしっかりと合わせた。着替える素振りがないと分かると京井は溜め息をついて、先程まで服が置かれていた椅子に座った。

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