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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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てがみ

むつと京井がドレスの前で悩んでいるのを見ているのも飽きてきたのか、3人は渡された燕尾服のサイズを確認していた。京井が持ってきたにしては、しっかりと3人の体型に合っている。


「…女の人は悩むと長いな。むつも意外とそのタイプだったんだな」


山上は溜め息を漏らしていた。だが、むつはそれは聞こえないふりをして1着のドレスを手に取って、ドアのついている部屋の中に入っていった。そして、少し経ってから出てきた。


「…どう?」


淡いブルーのシャンタンワンピース。後ろにスリットが入っていて、下地の白いレースとフリルがちらちらと見えている。ウエスト部分にはリボンがついていて、なかなか可愛らしい。


「…晃が泣いて喜ぶ姿だな。可愛いな」


「それに決まりかい?」


「いえ、後これと悩んでるみたいです」


京井がそう言って持ち上げたのは、ワインレッドのイレギュラータイプのシフォンワンピースだった。ウエストの辺りから、絞るように緩いフリルがついている。


「色はそっちのが好み。で、ボアボレロかなーって思ってるんだけど…」


「ボレロは黒ですね。今着てるドレスになら、淡いピンクのケープでも似合うと思いますけど」


「…赤も着てみろ」


頷いたむつは、京井からドレスを受け取って再び着替えた。ワインレッドと落ち着いた色だからか、大人っぽくしっとりとしているし、左右で丈が違くなっているからか、歩くたびに太ももがちらちらと見えている。


「あー…赤じゃないかな?」


「赤ですね」


颯介と祐斗は、似合うと口々に言っている。山上と京井は淡いブルーのシャンタンワンピースの方がいいのか、うーんと首を傾げてはいる。


「むつはどっちのが良いんだ?」


「形はそっち。色はこっち…かな?」


「ワインレッドのもありますけど、レースの部分が黒ですし…あ、でもしまりそうですよね」


「…悩むなぁ」


そう呟いてはいるが、むつはどこか楽しそうだった。衣装選びに付き合うのは苦ではないのか、京井も楽しそうにしているが、残りの3人はすでに飽き飽きしている。


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