てがみ
コーヒーを入れて戻ってきたむつは、何事もなかったかのように仕事に戻り、何度も欠伸を繰り返しながらも、かたかたとキーボードを叩いていた。昼近くになり、それぞれ仕事が一段落しそうになるとやる気もなくなってきたのか、睡魔との戦いになっていた。3人がまともに仕事をしているからか、山上も頑張って起きている。
「…仕事、終わりそうか?」
パソコンを見続けていたからか、目をしょぼしょぼさせながら、3人は山上の方を見て、こくりと頷いた。
「今日はもう終わったら、終わるか。むつは、京井さん待つのか?」
「…うん、待つ…って、えー?皆帰るの?パーティー行かないのぉ?」
「行かねぇよ。お前だけ行ってこい」
「行こうよぉ…クリスマスなんだよ?それっぽい事しよーよー」
駄々っ子のようにわざとらしく語尾を伸ばしながらむつが言うと、山上は眉間にシワを寄せてあからさまに嫌そうな顔をした。
「1人で行け」
「やだっ‼寂しさ満載になるって」
「じゃあ西原は?」
「だって仕事って言ってたし」
「じゃあみやは?」
「放火犯捕まったからまだ調べる事が残ってるんじゃない?」
「…晃は?」
「嫌」
「1人で行くしかないだろ」
「だーかーらーっ皆で行こうって。どうせ、予定ある人なんて居ないでしょ?」
颯介も祐斗も予定があるわけではなく、悩むような顔付きをしている。むつがサンタクロースからの仕事を請け負い、夜中に突然駆り出され今日の朝方までプレゼントを配る仕事をしていて、疲れてもいるし、かなり眠い。正直に言えば、もう仕事を終わりにしていいなら帰って寝たい所なのだ。




