てがみ
「あ、遥和さん?今、電話大丈夫?ちょっと相談が…うん。あのね、パーティーの招待状を貰ったの…え?うーん…知らない人?うん…でね、行きたいけど…パーティードレスがなくって…貸衣裳の所、どっか知ってる所ない?うん…えっ‼本当?うんっ…うん、今夜なの。うん、皆で…ん、ありがとう‼うーん…ちょっと、かなぁ?ま、それは後で…ん、待ってるね。はーいっ」
電話を終えたむつは、どこかご機嫌な感じで威張ったように山上を見た。山上は、溜め息をついてむつを見上げている。
「京井さん、何だって?」
「見繕って持ってきてくれるって‼みんなのも」
うきうき気分のむつは満面の笑みだ。だが、山上はそんな気分には到底なれない。だが、むつは気にしている様子もなく コーヒーをいれにキッチンに入っていった。
「…どうしたんでしょうね」
「寝不足でハイになってるんじゃないか?」
「昨日いい事があったのかもしれませんよ?」
祐斗が西原さんと、と言うと颯介も山上もそれはないと首を振った。だが、祐斗には有り得そうなのにとキッチンの方を振り返った。むつは妙にご機嫌で、鼻歌混じりにコーヒーをいれている。
「…西原と何かあったにしても、むつが機嫌よくなると思うか?みやと飯って日でも、いつもと変わらないってのに」
「あー…ですね。じゃあパーティーに行けるからって事ですか?本当に行くつもりなんでしょうか?」
「あの様子じゃ、行く気満々だね。まぁ仕事もないんだし…予定もないなら良いんじゃないかい?」
「…ですかねぇ」
キッチンの方から、ぶーんっと低い音とかとんっという音がが聞こえてきた。むつは、換気扇を回してタバコに火をつけたのだろう。




