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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

西原は、欲しい物がないと聞いて少しがったりした様子だった。欲しい物がここで聞けたら、それを渡そうかと思っていたが的外れだった。


「先輩は?何かあるの?」


「俺か…まぁ無くはないかな」


「えー?何?」


ネームタグをつけたプレゼントを運んで戻ってきたむつは、ちらっと西原を見た。少し意外そうだと言わんばかりの表情で、シールをはがしてネームタグを取り付けると、また後ろにある箱に持っていった。


「…靴とか?時計とかネクタイとか…」


本当は他に、もっと欲しいと思う物があるが西原はそれは言わなかった。あれこれと思い付く物を上げていくと、むつはくすっと笑った。


「それって仕事用でしょ?あたしと一緒で、欲しい物は必需品ってやつじゃない?」


「…確かにな」


「それで良いなら、あたしは…蛍光灯に…んー?洗濯洗剤?あ、ハンドクリーム。あっ、お酢が切れそうなんだ…」


「…今度、荷物持ちしてやるよ」


「え?いいよ。買い物くらい1人で行けるし」


ばっさりと断られ、西原はまたがっかりした。クリスマス・イブに過ごすのはよくても、買い物に付き添いはいらない。少しでも長く過ごせるのを嫌がらず、照れたような反応は見せるくせに、あっさりと突っぱねる。むつの線引きがよく分からず、西原はこっそり溜め息をついた。今夜は何かと溜め息をつく事が多い。


「だってさぁ?必需品の買い物に付き合わせたら先輩疲れるだけでしょ?家が近いわけじゃないし…まだ、うちには立入禁止だし?」


「あ…はい…」


むつの部屋には入れなくても、2人きりで過ごす事は解禁になったのかと西原は嬉しく思った。そうじゃなかったら、旅行で一緒に風呂なんて入ったりしないよな、と思うと自然と笑みが浮かんできた。それに、買い物に一緒に行くのが嫌というわけでもなさそうで、西原はほっとした。


「立入禁止が解除されるの待つよ」


「…社長の許可取ってね」


「山上さんのか?宮前さんじゃなくて?どっちにしても道のり険しいな」


「宮前さんってなると、晃さんと冬四郎さんが居るわよ?いちにぃは絶対に良いとは言わないわね」


「確かに…」


西原が深々と溜め息をつくと、むつはくすくすと笑った。



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