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ひとりきり
着替えを終え、二人は邪魔にならない場所で軽くストレッチをした。ここの柔道教室では、18時から20時までが子供の部、20時から閉館の21時までが社会人部となっていた。
社会人部の時間まではまだあり、大人は先生として教えているのが、数人だけだった。
「祐斗君、身体柔らかくなったね」
「西原さんに言われた通り、風呂上がりにストレッチするようにしてるんで。そろそろ効果出てくれないと…」
ついこの間まで前屈しても、指先が足に触れなかったが今では届くようになっていた。そんな些細な事にも気付く西原のおかげで、運動が苦手な祐斗でも続ける事が出来ているのかもしれない。
「その努力は、やっぱりむつの為か。意外とあいつモテるよな。最近は、あいつ無茶してない?」
仕事の事を知っているとは言え、西原にどの程度、話していいのかと祐斗は悩んだ。
「ま、してるだろうな。あれは聞いてるよ。宮前さんが謹慎くらったの…どうせ、よろず屋が絡んでるんだろ?」
西原は楽しそうに、にやりと笑った。祐斗は何も言えずに、困ったように笑うしかなかった。




