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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

キッチンに案内されたむつは、規模の大きさに驚いて声も出せなかった。何十人もが働いてそうな、大きなレストランの厨房のようで、ここはどこなんだろうと思わずにはいられなかった。だが、さっき見た2人の老人以外に、人は居なさそうだと分かると、むつは袖をまくって手を洗い、勝手に戸棚を開けて冷蔵庫を開けていく。


鍋はここかな?小さい土鍋とかあったらいいのに、と思いながら開けると、そこには方手鍋と小さな土鍋が2つずつあった。おたまは?塩は?米は?と探しているつもりであけると、開けた所には必ずそれがあった。


「…あたしが言うのも何だけど、不思議な所ね。ここは、普通の場所じゃないんだろうけど…」


一体、ここな何なのだろうと思ったが、材料と調理器具が揃うとむつはそんな事は気にせずに、米を研いで土鍋に入れて水と少し潮を入れた。蓋を閉めて、火にかけて、沸騰してきた所で、火を弱めて携帯のタイマーをセットした。


「吹き零れてから弱火で20分…がお米の炊き方よね?お粥は…違うのかな?生米から鍋で作った事ないや…」


不安になるような事を言いながらも、むつはしゅんしゅんと湯気の出ている土鍋を気にしつつ、方手鍋に砂糖と水を入れて煮立たせ始めた。かちゃかちゃと手慣れた様子で料理するむつをトナカイは、じっと見守っていた。


「よしっ…よしっ…良い出来だよ。後は卵の落として蒸らして…こっちは余熱で…と」


戸棚を開けてお盆を取り出した、レンゲとお椀。それから水差しに氷と水を入れた。


「あ…あれも…あるかな?…ここって、開けたら何でも出てくるわね」


足元の扉を開けて、中から茶色いゴムの袋のような藻のを取り出したむつは、その中に氷と水を入れて、ぴちっと口を閉じた。よしっとむつは満足げに頷いて、キッチンの隅にある台車に部屋に持っていくものを乗せて、がらがらと押してエレベータに向かった。


「うーん…台車があってもトナカイも乗れるだなんて…ここって全部が規格外の大きさ?」


凄いなぁ、住んだら迷子になるかなぁとむつは少し楽しそうに言った。そして、上に戻って最初に訪れた部屋へと入った。


窓を開けておいたからか、部屋の中のこもった重苦しい空気が、入れ替わっている。むつは鞄と上着を床に下ろして、ずりずりとテーブルを引っ張ってベッドの側まで運んだ。トナカイが一緒に押してくれたから、案外楽に動かす事が出来た。

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