表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
695/1310

おてつだい

菜々に呼ばれて、むつの行方を追おうとしている祐斗と西原が悩んでいる頃。当の本人であるむつは、荷台にちょこんっと座ったまま呆然としていた。


「…何、ここ」


トナカイにバケツリレーのように回されて、ソリに乗せられたむつは飛び降りる事も出来ずに、どこをどう通ったのかも分からず、城のような所に連れてこられていた。車道を走っていたはずのトナカイは、1度も止まる事なくそれに事故を起こす事もなくここまでやってきていた。トナカイは、むつを乗せたまま城の前にやってきてゆっくりと止まった。


止まると、最後尾でむつをソリに放り投げたトナカイが振り向いた。そして、何度か顔を振った。降りてそっちに行けという事だろうか。むつはよく分からないまま、降りて城の門の前に立った。トナカイたちは、行く所があるのだろうか。むつを残して行ってしまった。


「置いてくのね…連れてこられて、今度は置き去りね。成る程…何とか言って欲しいもんだわ」


深々と溜め息を漏らしたむつだったが、仕事柄なのか度胸はある。どこなのか分からない所に1人にされた所で、泣き出したりはしない。


むつはどういう場所なのかと、辺りを見回してみた。菜々と居た時には、夜だったはずなのにここは、昼間のように明るい。だが、深い霧が立ち込めているようで遠くまでは見渡せない。全体的にもやがかかっているようで、何となく湿度の高そうな所ではある。それに、生暖かい。


「…嫌な感じの場所だわ」


雰囲気的に暗い気がして、すぐにでも帰りたくなる。だが、帰り方は分からない。トナカイもどこかに行ってしまい、見えなくなってしまった。じっとりと汗が出てきて、むつは上着を脱いだ。


どういう訳だか分からないが、連れてこられて、ここで降ろされたという事は、この城の人に呼ばれたと考えて良いのだろう。むつは上着を腕にかけて、大きなノッカーをゆっくり叩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ