おてつだい
祝日の夜ではあったが、渋滞する事もなく、2人は目的とした駅に着いた。祐斗を先に降ろさせ、西原は支払いをして領収書を受け取った。
「谷代君、先輩…来てくれてありがとうございます。それにごめんなさい、急に呼び出したりして」
すっかり落ち着きを取り戻している菜々は、2人に軽く頭を下げた。寒い中、祐斗に言われた通り外で待っていたのだろう。
「いや、大丈夫だよ。それで?何があった?」
「その前に…どっかに入って落ち着いて話をしましょうよ。朋枝さん外で待たせたから、風邪引かれたらむつさんに怒鳴られます」
「それもそうだな。そこの喫茶店にしよ」
祐斗も西原も呑んでいた事など、なかったかのように、落ち着き払っている。菜々は、おどおどしている様子ではあるが、2人についていった。暖かい店内に入ると、祐斗と西原はコーヒーを菜々は紅茶を頼んだ。コートを脱いで、備え付けの灰皿をテーブルの真ん中に置いた西原はすぐにタバコに火をつけた。
「大丈夫ですか?」
祐斗が心配そうに声をかけると、菜々は困ったような笑みを浮かべて頷いた。1人じゃどうにもならない、どうしようと悩んでいたが、祐斗と西原が来てくれると大丈夫な気になれるから不思議だった。店内は人が少ない。それでか、飲み物はすぐにやってきた。すぐ近くにあった店にとりあえずで入っただけだが、コーヒーも紅茶も豊かな香りがしていた。祐斗はミルクと砂糖を入れて甘くして、西原はブラックのまま、菜々は砂糖だけを入れた。ティースプーンで混ぜながら、砂糖が溶けていくのを見ていた。




