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ひとりきり
祐斗は人混みに押されるように電車から降り改札をくぐった。そして、キョロキョロと辺りを見回した。
すると、すぐに祐斗に向かって手を振る男に気付いた。祐斗は、その男の所に小走りで向かった。
「西原さん、こんばんは。お待たせしちゃって、すみません」
「こんばんは。待ってないから気にしなくていいよ。バイト終わりだろ?お疲れさん」
祐斗と待ち合わせをしていた、男。短髪に眼鏡の西原 駿樹は、行こうか、と祐斗を促した。
「それにしても、毎回の事ながらよく遠くまで来るよな。面倒にならない?」
「近所よりは…良いかなって。それに西原さんと話すのも楽しいですからね」
少し照れたように言う祐斗を見て、西原は嬉しそうに笑った。
「俺なんかじゃ、お役に立てる事なんか何もないのに」
「そんな事ないです‼西原さんこそ、飽きもせず付き合ってくれるじゃないですか。それだけで十分なんですよ。それに、お兄ちゃん出来たみたいで」
もじもじしながら言う、祐斗を西原が弟みたいだと思ったかは分からないが、悪い気はしなかったようだ。
「まぁ…学校以外の年上ってなったら、むつを抜かせば俺が1番年も近いのかもな」
西原は口元に笑みを浮かべながら、祐斗とゆっくり歩いてある場所に向かっていく。




