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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

ぶーっぶーっとテーブルの上に振動が響くと、西原は2杯目の梅チューハイのジョッキを置いた。


「鳴ってるぞ?」


「俺のじゃないっすよ、西原さんっすよ」


「いや、俺のじゃなくて祐斗君のだから」


酔ってきてるのか祐斗は、気だるげな様子だった。西原に言われて、祐斗は携帯を持つと、とろんとさせていた目を見開いた。


「わっ…と、朋枝さんからだっ」


「出てやれよ」


くっと笑った西原はタバコをくわえて火をつけた。メールで21時頃までなら大丈夫だと、菜々からの返事があり喜んでいたが、そのあとは誰と過ごすのかと気にしていた祐斗は、また少し落ち込み気味だった。喜んだり、気落ちしたりと忙しい祐斗を西原は面白そうに見ていた。


「はっはい、谷代ですっ‼」


そんなに気張って出なくてもと、西原は思い笑っていた。だが、それほどに緊張する相手だという事なのだろう。


『や、谷代君、ごめんね、急に…あのね、むつと一緒に焼き肉行ってね、ダイエットに歩いて帰ってたんだけどね』


菜々は慌てたような声でだが、しっかりとした様子で話をしている。焼き肉に行って、ダイエットで歩いての所で祐斗は首を傾げながら、ふっと笑ってしまった。ダイエットしたいのに焼き肉では、何の意味もないだろうに。


「あ、そうなんですか。楽しかったですか?」


『うんっ‼今度一緒に…って、じゃないの!!むつがね、むつが連れてかれたの‼』


今度一緒にと言われ、祐斗はだらしなく笑みを浮かべたが、むつが連れてかれたと聞き、西原の方を見た。


「…?むつさんが連れてかれた?どこに、誰にですか?」


『分かんない‼でも、トナカイが居てね、ソリ引いてて、で、むつがトナカイに連れてかれたの。ソリに乗せられて』


菜々は懸命に説明しているようだが、言っている事がよく分からない。むつが連れてかれたと祐斗が口にしたからか、西原は険しい表情を浮かべているが落ち着いた様子でタバコを吸っている。

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