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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

だがトナカイには伝わなかった。それどころか、ぐいっと首を反らすようにした。


「ちょっ…っ‼」


ふいっとむつの足が浮いた。


むつの慌てた声に、笑みを見せていた菜々も驚いたようで、流石に笑みを消した。菜々は慌ててガードレールから身を乗り出して、むつの手を掴もうとしたが、その手はわずかに届かなかった。


ひょいっと持ち上げられたむつは、まるでバケツリレーかのように、後ろのトナカイに回され、回され、回され、ぽんっと放り投げられるようにして荷台のソリにどさっと落とされた。


「ちょっ、むつっ‼」


「いったぁ…」


荷台の床にでも身体を打ち付けたのか、むつは頭を振るようにして身体を起こした。


「…もうっ‼何なのよ…」


遊ばれてるんだなと思ったむつは、溜め息をついてソリから降りようと、手をかけた。だが、ぐんっとソリが引っ張られ揺れるとむつは荷台の上でころんっと転がって、ごちんっと頭をぶつけた。


「いっ、たぁ…」


「むつーっ‼」


菜々の叫び声がして、むつは身体を丸めるようにしながら、ぶつけた頭を撫でながら、床に手をついてゆっくり起き上がった。


「うわ…動いてる」


先程までは、ぴったりと止まっていたのに、トナカイたちはソリを引いて歩き出していた。今なら飛び降りれるかな、と思ったむつだったが、ぐいっと引っ張られる感覚に、ふらっと仰向けにひっくり返った。再び頭を打ち、むつは溜め息をついた。


ゆっくりだったはずの歩みはあっという間に、加速していた。コンクリートの上を、蹄が鳴る。だだっ、だだっと重たそうだが、素早い音がすぐ近くから地響きのようにした。

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