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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

菜々が歩道に戻ると、むつも後から戻ろうとしたが、くいっと上着の裾を引っ張られた。


「え?」


振り向くと、先頭に居た人懐こそうなトナカイがむつの上着を噛んで引き留めていた。苦笑いを浮かべたむつは、トナカイの口から上着を離させた。むつの何が良いのか、余程になつかれたようだ。


「ごめんね、帰るね」


また上着を引っ張られないようにと、むつは背中を向けずにじりじりと後退していくが、トナカイもじりじりと迫ってくる。


「むつ、好かれたね」


「喜んでる場合じゃない…」


困ったように言ったむつだったが、歩道に上がってしまえば追ってはこれないだろうと思った。だが、ガードレールの途切れた所からうまく歩道に上がれなかったむつは、とんっとぶつかってそのままひっくり返りそうになった。


「危なっ…」


「もう、危ないなぁ…後ろ向きに歩くから。またいじゃえば?」


菜々に言われると、よっこらせとむつがガードレールをまたいで歩道に戻ろうとしたが、後ろ襟をばくっとトナカイがくわえた。


「戻るなって事かしら?」


「どんだけ好かれたのよ。モテるわね?その子、男の子なのかしら?」


「いや、どうかな…ごめんね、帰らなきゃいけないから…また今度ね」


後ろ襟をくわえられたまま、むつはぽんぽんっと撫でてやり、離してくれと言った。


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