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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

むつと菜々、それに他の通行人の視線を集めているのは、車道をゆっくりと通っているソリだった。それを引いているのは、角が立派なトナカイ。菜々の言う通りクリスマスの催し物なのか、トナカイの首には大きな鈴がついているし、ソリにも飾りが施してある。


「…これ、写メ撮りたい‼」


菜々はごそごそと鞄をあさって携帯を取り出して握りしめると、むつの手を引っ張ってソリを引いているトナカイを追い掛けた。


トナカイは人目を気にする風でもなく、あくまで堂々とゆっくりとソリを引いている。雪や氷の上を滑らせるように、荷台の下に設置されているスキー板のよう部分は、コンクリートの上だというのに滑らかに進んでいる。むつは菜々に引っ張られ、小走りにトナカイを追いつつも、注意深く観察していた。


クリスマス・イブを明日に控えている今日。大掛かりな催し物だとも言えなくもない。近年クリスマスに大騒ぎをしたり、アピールを兼ねて企業が何かのイベントを開催する事もよくある。だが、それにしては少し変だと思っていた。

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