おてつだい
「深読みしちゃうなぁ…だって、何とも思ってない人とイブに過ごす?特にあんたら…」
むつは困ったように笑いながら、ワインを呑み干して新たに注いだ。ボトルはもうすでに軽くなってきている。むつは菜々のグラスにもワインを足した。
肉を焼くのは一段落なのか、むつはタバコに火をつけた。上についている傘のような物が、煙を吸い込んでいく。菜々はそんなむつをちらっと見ながら、焼けて端に置かれた肉を口に運んでいく。
「まぁ…ね。あたしもさ、それは思うから返事をしてなかったんどけどさ」
「何があって、返事したわけ?」
「うーん…分かんない。良いかなって?何か会いたいかなって…」
素直にそう言ったむつは、溜め息を吐いた。タバコの煙を細く吐き出しながら、むつは何とも言えない顔つきをしている。恥ずかしがってるとかではなく、自分の言った事が本当なのかと疑問に感じているようだった。
「あたしはいいのよ。あんたは?」
「谷代君?うん、良い子よね…あたしもあんたと一緒だわ。良いかなって思うけど、好きとかまではいかないのよ。それにっ‼それによ…谷代君からしたら、あたしらなんて歳上過ぎて、ねぇ…気が引けるわよ」
「女が歳上っていうのはね…何か気になるよね。それは、すっごく分かるわ」
「うーん…予定なかったら、なんて言わなきゃ良かったわ。どうしよ…行く?行ったら行ったらで、楽しいとは思うのよね」
「行ってみたら?あたし、明日は早く帰ってくるし…」
「本当に?」




