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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

ふーんと蒟蒻にかぶりつきながら、西原はむつがどんな様子なのかを聞いていた。無茶をした事を反省しているのか、一緒に働いてる湯野颯介と祐斗にはむつなりに気を遣っているようだ。


瓶ビールが空になると、ビールに飽きてきたのか祐斗はチューハイのレモンを西原はチューハイの梅を頼んだ。頼んですぐに、どんっとジョッキが置かれた。


「…デカくないっすか?」


「普通サイズが大ジョッキだからな」


「の、わりに安いですよね」


「うん。料理は美味しいし、呑みたい時にはもってこないな所なんだよ。だから、遠慮せず呑めよ」


西原が意味深に笑ってみせると、はぁと返事をした祐斗はジョッキに口をつけた。菜々からの遠回しの断りと、その後の連絡の無さに気落ちしていた祐斗に取っては話を聞いて欲しかったというより、一緒に呑む相手が欲しかっただけだ。それで、歳上の中でも仲の良い西原を誘ったわけだった。


追加したおでんをつつきながら、他愛もない話をしていた2人だったが、テーブルの上に置かれた携帯が、ぶるぶると鳴ると祐斗はすぐに取った。だが、鳴っていたのは祐斗の携帯ではなかった。


「ちょっと、ごめんな?…はい、西原です」


『…ふっ…こちら、玉奥です?』


「疑問系にするな。お前誰だよってなるじゃないか…仕事終わりか?」


祐斗がじっと見ている事に気付くと、西原は苦笑いを浮かべて、口パグでむつからだと伝えた。納得したのか、顎を突き出し、歯を見せるようにして頷いた。その変な顔に西原は思わず笑った。


『なぁに?何か楽しそう…もしかして、邪魔しちゃった?』


「あ、いや…大丈夫。ちょっと友達と呑んでてさ…で、どうした?」


『うん…あのさ、明日の事…まだ、その…連絡してなかったから…』


かつ、かつ、っと足音と車の音、人の話し声が電話越しに聞こえてくる。仕事を終えて、むつは外を歩きなが電話しているようだ。

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