67/1310
ひとりきり
午後からも祐斗は、パソコンと格闘していた。気のせいではなく、やはり仕事の量が増えていた。それは、山上が祐斗のデスクに置いていった、と見て間違いなさそうだ。
一応は社長である山上に、文句を言うわけにもいかず祐斗はただ黙々とこなしていく。立ち上がるのは、トイレとコーヒーをいれに行く時だけだった。
そろそろ、1日が終わろうとしている頃、仕事の目処がついた祐斗は、椅子を軋ませながら大きく伸びをした。
目がしょぼしょぼするし、肩も腰も痛い。
「社長、戻らないだろうから。キリの良い所で終わりにして帰っていいよ」
「湯野さんはまだ仕事ですか?」
「もう、そろそろ帰るよ。むっちゃんからの連絡もないし…サポートいらないだろうからね」
祐斗は書類を整理し、パソコンの電源を落とした。明日も山積みの書類と格闘になるのは、目に見えている。
「なら先に帰りますね。お疲れ様です」
「ん、お疲れ様。気を付けてね」
鞄持って外に出ると、祐斗は駅に向かって歩き出した。改札の近くにあるコインロッカーから、大きめのバッグを出し肩にかけると自宅方向とは別の電車に乗った。




