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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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おてつだい

祐斗は足早に、目的地に向かっていく。駅を出て、すぐにあるパチンコ屋の裏手を通り、教えられた道を歩いていく。この辺はあまり来た事がないが、こじんまりとはしていても、沢山の飲食店がある。だが、カップルはほとんど居ない。ここら辺に来ると、仕事帰りのサラリーマンたちの姿の方が多いくらいだった。


一緒に呑む相手に教えられた、店の看板が見えてきた。赤提灯に、おでんの文字が大きく書かれている。祐斗は、からからっと引き戸を開けて中に入った。こじんまりとしていて、席は多くはないが人は多く、ざわざとした賑わいがあった。だが、ここには女性の姿はなくほとんどがスーツ姿だった。


「いらっしゃいませ、お1人様ですか?」


「いえ、連れが先に来てると思うんですが」


「あ、お連れ様です。どうぞ」


祐斗と同じくらいの年齢で、アルバイトなのか、男性に案内されて祐斗は奥にあるテーブル席に向かった。


「あ、西原さん。お待たせしました」


「よ、お疲れ。先に呑んでた」


短髪にフレームの細い眼鏡でスーツ姿の男、西原駿樹は空になっている瓶を持ち上げて見せた。


「全然、それは…お疲れ様です」


西原は、祐斗を案内してきた店員にビールとグラスの追加を頼んだ。すぐに、おしぼりと瓶ビール、グラスがテーブルに置かれた。西原は栓を抜いて、グラスに黄金色の液体を注いで祐斗の前に置いた。かちんっとグラスを合わせて乾杯して、しっかりと冷えたビールを祐斗は呑んだ。外はかなり寒かったが、店内はしっかりと暖房が効いていて、暖かく冷たいビールも美味しい。


「何か適当に追加してくれ」


メニュー表を渡された祐斗は、ぱらっと一通り目を通してからすぐに店員を呼んで追加の注文をした。先に来ていたわりに、テーブルには漬け物と蓮根のきんぴら、たこわさしかなかった。提灯におでんっと書かれているわりに、西原はおでんは注文していなかった。

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