おてつだい
クリスマス・イブを前日に控えた祝日。谷代祐斗は残業を終えると、そそくさとアルバイト先を後にした。今日の夜は、呑みに行く約束をしているのだ。デスクワークをしていた1日で、書類のミスを直したりで何だかんだとやる事は多かった。些細なミスが無ければ、仕事は増えずに済んだのだが、どうしても今日は仕事に集中出来なかった。
電車に飛び乗った祐斗は、少し遅刻だが思ったよりは早く着けそうだとほっと胸を撫で下ろした。祝日の夜で明日はクリスマス・イブだからか、電車の中には仲睦まじいカップルが多い。そして、その中にクリスマスプレゼントなのか、大きな袋を持っている人も居る。
羨ましいさと妬ましさを感じた祐斗は、それらの人々から目を反らして窓の外に目を向けた。同じ様に横に立っている人も、幸せな人々から目を反らすようにして外をぼんやりと眺めている。ちらほらと居るスーツ姿のサラリーマンに、祐斗は自然と親近感を抱いていた。自分もアルバイトとは言えど、祝日もクリスマスも関係なく仕事だからだ。
目的の駅で降りた祐斗は、寒さに首を縮めるような仕草をした。今年最大の寒波が、と今朝の天気予報でも言っていただけの事はあるような冷え込みだった。もしかしたら、今年はホワイトクリスマスになるかもしれない。そう思うと、楽しみなような気もしたが、今の所は一緒に過ごす相手もおらず、あまり関係のある事のようには思えなかった。




