ひとりきり
嬉しい気持ちでオフィスに戻ると、颯介がデスクで出前の弁当を食べていた。山上の姿はない。
「戻りました。って湯野さん一人ですか?」
「おかえり。うん、社長は脱走した…もしかして、社長と交代するのに早く切り上げて戻ってきた?」
「はい…湯野さん、お茶とコーヒーどっちにしますか?」
「んーお茶かな。悪いね」
祐斗はキッチンで二人分のお茶をいれた。
「もしかして、忙しいですか?」
「いいや。いつも通りかな?何で?…あ、ありがとう」
お茶を置き、祐斗も座った。デスクにはまだ、やらなきゃいけない仕事が山になっている。気のせいか、休憩に行く前より積み上がっている気がした。
「戸井さん所に飯行ったら、最近顔出さないねって言われたんすよ」
「あぁ、そう言えば俺も最近行ってないな。出前取る方が楽ってのもあるし、むっちゃんも行ってないみたい?」
戸井から聞いた、むつが昼寝をしていた事はあえて言わないでおいた。
「みたいっすね。呑みにおいでって言われちゃいましたよ」
「近々行かないと。潰れそうだしね」
颯介も何も知らないだけで、むつはむつでまた何か動いてるのかもな、と祐斗は思った。だが、何も言わずに笑っておいた。




