ひとりきり
祐斗はカウンターで、とり天定食と小エビのサラダを食べ終えると、ゆっくりお茶を飲んでいた。
「最近、忙しいの?」
「え?…いや、そんな事もないかな」
食器を片付けた戸井が、食後にとレモンシャーベットを出してくれた。
「この前、たまちゃん一人でふらって来てさぁ飯もそこそこに昼寝してたんだよね」
さっぱりとしたシャーベットに舌鼓しながら、祐斗は首を傾げた。
「僕は平日、ほとんど出てないんで分からないですけど…そうなのかもしれませんね。事務処理に大量に押し付けられたんで」
「ふーん?みんな忙しいとうちが暇で困っちゃうよ」
戸井はそう言いながらタバコをくわえて、笑っている。本当に今日も暇なのかもしれない。
シャーベットを食べ終えた祐斗は、お茶を飲み干し、時計を確認した。まだ少し早いがそろそろ戻って、山上に休憩に出て貰おうと思ったのだ。
「戸井さん、お会計してください」
「うん。昨日、たまちゃんから貰ってる。祐斗君が来ると思うからって」
「え、どういう事ですか?」
「土曜日、まぁ今日だけど。祐斗君に仕事を押し付けるから、ご飯くらい奢らないとって言ってね。多めに貰ってるよ。残りは取っておくから、呑みにおいで」
そう言うと、祐斗を追い払うかのように戸井はひらひらと手を振っていた。
「え…あの、ご馳走様でした」
「うん、たまちゃんによろしく」




