とあるひのこと
「あ、そうだ。明日ってさ、こさめは篠田さんと?菜々は祐斗と?」
ちゃぷっとふちに肘を乗せて、頬杖をついたむつが聞くと、こさめはこくっと頷いた。やけに嬉しそうな笑顔に、むつも嬉しそうな顔をした。そして、菜々の方を見ると、何だかもじもじとしている。
「菜々?」
「あ、うん…たぶん、そう、かな…」
むつとこさめは、おっという顔をして菜々を見た。2人の視線を感じた菜々は、湯のせいだけではなく頬を赤くした。
「え、そうじゃないわよ?ただ、その…明日、こさめさんは篠田さんと行動するだろうし、むつは宮前さんと行動するかもしれないからって…だから、もし良ければって誘われて…その…」
「行くのね。菜々は祐斗がお気に入りっぽかったし、良かったんじゃないの?」
「へ、変な風に思わないでよね‼その違うわよ?あたしが相手居ないとって気を遣ってくれたんだと思うし…で、そういうむつは?お兄さんと?」
「や、あたしは…先輩と」
先輩と、という声が少し小さくなったのは、むつも少し恥ずかしいからなのだろう。菜々とこさめは顔を見合わせると、少し驚いていた。
「…そういえばさ、今聞く事じゃないかもしれないけど、何で別れたの?」
菜々にでさえ、それを話していなかったむつは頬杖をつくのをやめて、ふちに顎を乗せた。そして、少し考えるように間を置いた。
「んープロポーズされたから…」
「えぇっ!?」
菜々とこさめの驚いたような声は大きく、むつは苦笑いを浮かべてしまった。




