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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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とあるひのこと

少し悪いと思ったのか、むつはぱっと手を離してつまんでいた箇所を撫でた。


「ったく…あ、そうだ。逮捕した女の事とかお前聞かないよな?いいのか?」


「うん。お地蔵様からある程度は聞いてる。痴情のもつれでしょ?2件の殺人は」


「あぁ…で、どうなって女がお地蔵さん壊して回ってたんだ?」


西原は、ポケットから出したタバコに火をつけると、ふーっと細く煙を吐き出した。


「あの人、人じゃないでしょ?で、江戸時代くらいって地蔵信仰が盛んだったのよ。それで、ずっとあのお地蔵様たちを拝んでたみたいでね…あの人が殺人をした時には1の地蔵が、殺された人の魂を導くのにその場に出向いて行ったんだって。で、その時に、つい愚痴っちゃったみたいで…御霊を導に来たお地蔵様を自由にしたいって女が思ったみたいなの」


「成る程なぁ…それで、壊して回ったって事か。まぁ仏でも休息は欲しくなるし、愚痴りたくなる時もあるだろうな」


「そうゆう事。最悪なのは、土地神様はみーんな知ってて、黙ってたって事かしら?」


西原がくわえていたタバコを取ると、むつは一口吸った。溜め息と一緒に煙が昇っていき、風に流されて消えた。


「知ってて、依頼してきたのよ。まぁ神と仏じゃ違うから、安易に何かするわけにはいかなかったんだろうけど…土地神様がね、地蔵たちは後からあの土地に来たから、子供のような物だって。だから、つい甘くなるから他の大人に叱って貰わないといけなかったって言ってたっけ。ま、それをしたのは、うちの祐斗なんだけどね」


もう一口吸うと、むつは西原にタバコを返した。西原は、持っていた携帯灰皿に灰を落とすと、タバコを口の端にくわえた。


「ま、何にせよ…誰も悪くないな」


「うん。お地蔵様たちが我慢の限界に達しちゃった時に、タイミングよく手助けをした人が居て、面倒な事になったってだけだもんね」


「ま、お前はそう思えても…」


「そうなのよ。社長と祐斗はね、分かってても納得出来ないって感じだった」


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