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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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とあるひのこと

久しぶりにゆっくりと食事を楽しみ、少し呑み過ぎたのか、むつは頬を赤くしていた。ふわふわして、心地よいような気持ち悪いような気がした。


少し、外の風に当たろうかなと立ち上がりかけたむつは、辺りを見回した。菜々はいつの間にか仲良くなってる祐斗と、ちびちびと酒を呑みながら楽しそうに話をしているし、眠そうなこさめは篠田にもたれている。颯介、山上、冬四郎、西原は相変わらずな感じで呑み続けている。


「…ちょっと外に出てくるね。酔っちゃったみたいで…」


「大丈夫ですか?行っても離れの庭だけにしてくださいね。お水用意しておきますから」


こそっと京井に言うと、むつは大丈夫と言って立ちたがったが、自分の思った以上に足元がふらついていた。京井が心配そうにしていたが、むつは大丈夫だと言い、ふらふらと外に出た。ブーティを履く気にはなれず、玄関に置いておる木作りのサンダルを履いた。下駄のように、歩くたびに、かこっかこっと鳴るのが何だか楽しい。


京井に言われた通り、むつは庭の中をゆったりと歩いた。前に仕事も兼ねて行った旅館とは桁違いの広さで、小さいが石橋があり、その下にはちょろちょろと水が流れている。風流ではあるが、冬場だからか寒さを引き立たせるような寂しさも感じられる。だが、むつはサンダルを脱いで、石橋に腰掛けた。高さも長さもなく、座ると水に足がつきそうだった。ストッキングをはいている足で、水に触れるわけにもいかず、むつは触れないすれすれの所でぷらぷらと足を揺らしていた。尻からは石橋の冷たさが、伝わってきてすぐに身体が冷えてしまった。


むつは膝を抱えるように座ると、膝の上に顎を乗せた。冷たい風のおかげか、酔いはあっという間にさめていた。

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