表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
619/1310

とあるひのこと

「で、むつは何食ってんだ?」


「これ?小豆餡のお饅頭」


男たちを無視した西原は、むつの元に寄ると腰に手を回すようにして手元を覗きこんだ。むつが饅頭を西原の口元に持っていくと西原はふぅんと言うとぱくっと一口かじった。


「酒粕?何かそんな匂いするな」


西原がむつの手を取って、ふんふんと匂いを嗅いでいる。その声が聞こえたのか、篠田もこさめの食べている饅頭の匂いを嗅いだ。声をかけてきた男たちの事は、すでに完全に忘れ去っている。


「うん、生地に入ってるって」


西原がかじった所をくわえるようにして、むつはもそもそと答えた。少し恥ずかしがっているような様子を見て、菜々が舌打ちを鳴らして、するすると祐斗の隣に立った。


「…何なの、あれ?進展してるって事?近寄らせないでって言ったのに」


だんだんと声が低くなる菜々に、祐斗はすみませんと頭を下げていた。だが、菜々は仕方ないかと溜め息をつくと祐斗の前にチョコクリームに饅頭を差し出した。


「食べてみる?甘ったるぅいせど」


「…いいんですか?」


「うん…むつもこさめさんも相手居るのに、あたしだけ居ないし。谷代君、相手してくれる?」


拗ねたように、そしてちょっぴり菜々が頬を赤くして言うと、祐斗も少し恥ずかしそうに頬を赤くした。そして、はいと頷くと、菜々の手ごと口元に寄せてチョコクリームたっぷりの甘ったるい饅頭を一口食べた。


「…コーヒーか濃いお茶欲しいですね」


「ちょっと、しくったかもって思ったわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ