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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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るーぷ

ひょこっひょこっと階段を下りていくむつは、ちらちらと祐斗の方を振り返っている。祐斗が首を傾げると、むつは視線だけを動かした。


「むつさん、掴まりますか?」


こくこくと小刻みに首を動かして頷いたむつは、祐斗の肩に掴まった。祐斗の肩と手すりを掴みながら、ひょこっひょこっと歩くむつを、りぃは後ろから目を細めて見ている。そして、マフラーで隠しながらくすっと笑った。


玄関から出ると、むつと祐斗は立ち止まって振り向いた。外に出れない広瀬は2人を見ている。むつと祐斗が揃って、ひらひらと手を振ると広瀬は頷いただけだったが、嬉しそうに笑っている。


「…少し離れておこ」


ずりずりと足を引きずって、むつは駐車場に行くとぺたっと手をついて座った。足を伸ばして座っているむつは、どこか子供のような雰囲気があった。むつの隣で立っている祐斗のズボンをむつが引っ張ると、祐斗はしゃがみこんだ。


「祐斗、よく見ておいた方がいいよ。あの人の力、こんな風に見れる事ないから」


「そんなに凄いんですか?」


「うん。病院の中に何人の霊が居るかって祐斗なら何となくでも分かるでしょ?この大量な霊を…」


病院のロビーにいるりぃを、むつは眩しそうに見ている。祐斗はそんなむつの横顔を見ていたが、りりぃんと涼やかな音が聞こえると病院に目を向けた。玄関の所にはまだ、広瀬が立っており2人の方を見ている。


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