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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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るーぷ

2階までどうにかやってきたむつは、靴をはきながらずきずきと痛む足首を手で押さえていた。感覚の鈍くなるくらいまで冷えた手で、痛む箇所を押さえていると痛みは少しましになるような気がした。


防火扉のすみで鞄を下ろして、細長い物を包んでいた布を外した。見慣れ使い慣れている、日本刀。鞘が黒く光り、いつもと何ら変わりない物だが、むつの表情は優れない。まだ抜く必要はないが、柄を握ったむつは険しい表情を浮かべた。妙な緊張感とともに、ぐっと手に力をこめたむつはそのまま動かなかった。はぁと溜め息をつくと、床に置いてあった布でくるくると包んだ。


祐斗はちゃんとエレベータを見張れる位置に、隠れているだろうか。むつはそれが心配ではあったが、確認の為の連絡を取る余裕などない。時刻を確認し、あとはただ息を潜めて相手がやってくるのを待つだけだった。まさかの怪我もあり、役立たずさが増したむつは何としてでも犯行だけは捕まえたい気持ちになっていた。多々のミスを挽回するには、それしかないと思うと、兄である冬四郎や西原もこんな風に思ったりしながら仕事に勤めているのかな、と思うと何だか心強かった。


薄暗い廊下で1人でいると、時間が経つのが長く感じられ、緊張ばかりが増していく。むつは大きく深呼吸をすると、片膝をつく体勢になり壁にもたれた。足首がずきっずきっと脈打つように痛む。


「…っ!!」


足首の痛みで集中力がなくなっていたのか、すぐ横まできていたモノに気付くのが遅れた。振り向いた時には、顔のすぐ横を何かが勢いよくかすめて、壁にかんっと音を立てて当たった。

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