るーぷ
携帯灰皿に吸い殻を入れ、すぐにむつは2本目に火をつけた。ふーむと悩んでいるむつが、何に悩んでいるのか祐斗にも霊の広瀬にも分からず、むつが口を開くまで待っている。
「あ、そっか…事件を防いだら、ちょっとは今年の後悔はなくなるんじゃない?」
「そんな年末みたいな…」
「もぅすぐクリスマスだもん。今年も終わりだよ?それにさ、広瀬さん。もう死んでるもん。今更、死んだ事を後悔してもどうにもならないって。今回の事件はさ、あたしと祐斗が防いでその2人を捕まえてあげるから、成仏しよ、ね」
誘うように言い、むつはどうだろうという顔をもやもやとした方に向けている。
「試してみる価値はあるからさ。ダメなら、もう病院壊しちゃおうよ。居場所なんてなければ、離れられるよ」
「むつさん投げやりになってませんか?」
「投げやりにはなってないけどさ。いや、ちょっとだけだよ?広瀬さんもよろず屋なら、どうにかって思うから手紙をくれたんでしょ?で、あたしらが来たのはまさかの当日。運命だよね。あたしはここで殺されるのはごめんよ。ぜーったいに社長の夢枕に毎日立ってやるって思うし。だから、思い付く事はしてみようよ、ね」
ちょっとは投げやりなんだと、祐斗は思ったがあえてそこは言わなかった。それに、むつが言う以外に祐斗には何も手が思い付かない。




