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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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るーぷ

「わ、笑い事じゃないですって」


「まぁまぁ、ごめんって。大丈夫、検査何て何にも引っ掛かってないってば」


「何で、そう断言出来るんですか?」


「まぁまぁ…ちょっと待ってて」


むつは鞄から携帯を取り出すと、祐斗にコートと鞄を預けて自力で自動ドアを開けて外に出ていった。祐斗からはちゃんとむつの姿は見えている。むつも祐斗の方を見ながら電話をしている。少し首を傾げたりしながら、ぱたぱたとジャケットの上着を叩いている。むつは祐斗に向かって、人差し指を見せた。何を言っているのか分からなかったが、むつが白い煙を吐き出すのを見ると、タバコ1本吸っていくね、というジェスチャーだったのだろう。どことなく余裕そうなむつを、祐斗は恨めしげに見ていた。


電話をしながらタバコを吸い、むつは何を思ったのかふらっと居なくなった。祐斗は、不安そうにどしうようかと思っていると、すぐにむつはまた同じ場所に戻ってきて、ひらひらと手を振った。手にはコンビニの袋が下げられている。そして、きょろきょろとして灰皿がない事に気付いたのか、むつは踏み潰して火を消すと、ちゃんと吸い殻を拾って戻ってきた。やはり自動ドアは開かず、手で無理矢理開けると、身体を横向きにして入ってきた。


「颯介さんに残業頼んできた」


「…何か言ってましたか?」


「特にはなんにも」


携帯をジャケットのポケットにしまうと、祐斗に預けていた鞄から携帯灰皿を取り出すと吸い殻を入れた。


「夜食の出番だ」


むつはそう言い、くすくすと笑うとコンビニの袋をコートで隠した。祐斗が何か言いたげな顔をしているが、むつは人差し指を口元にあてて、後でねと言った。


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