るーぷ
彼氏が居ないからもあってか、少し不機嫌そうに頬を膨らませている。そんなむつの前に座っている颯介と祐斗は、顔を見合わせてくすくすと笑った。
「もう、失礼しちゃうわよ‼」
「まぁまぁ…ある意味、祐斗君以外はお年頃だからね。特に社長とかさ」
「あー…社長、行く?結婚相談」
「行かねぇよ、あほ」
ぴらぴらと手を振りながら、ぎしっと椅子を軋ませて山上は背中を向けると、新聞を広げて読み始めた。むつは、ふふっと笑いまた郵便物の確認を再開した。
「あら…珍しい。依頼だ」
むつの呟きを聞く限り、よほど仕事のない会社のように思える。だが、そうではなく、このようにして封筒で仕事の依頼があるのが珍しいのだ。今はよろず屋のホームページから、メールでの依頼が多いから、むつは珍しいと呟いたのだ。
「どんな依頼なんですか?」
「んーっとねぇ…」
封筒から手紙を取り出したむつは、コーヒーをすすりながら目を通していく。2枚目にも目を通したむつは、コーヒーを飲んでふぅと息をついた。
「うん、まぁ…よくあるやつ」
読み終わったのか、むつは手紙を祐斗に渡した。向かい側に座っている祐斗は、椅子から立ち上がり手紙を受け取った。颯介と顔を近付けて、一緒に手紙を読み始めた。むつはすでに、他の郵便物に目を向けている。その反応からして、あまり興味を持っていない事が分かる。




