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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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うんめいとは

財布と携帯をポケットに突っ込んだむつは、段ボール箱の中からマフラーを取り出してすっぽりと鼻の辺りまで隠した。


「寒いのか?」


「流石に夕方になると寒い。寒くない?」


すんっと鼻をすすったむつは、スニーカーをはいて爪先をとんとんっと叩くと廊下に出た。西原と京井も出ると、山井が鍵をかけて、その鍵をむつの手の上に乗せた。


「鍵の交換終わったからな、いつでも入居は出来るからな」


「あ、そうなの?ありがと。でも、今夜は遥和さんの所に泊まるね。で、そのまんま事務所行って、明日の夜からここで」


「そうだな。引っ越しで疲れただろうから、京井さんの所でゆっくり休まないとな。さて、買い物行くか」


むつは鍵をキーケースにつけると、ジーパンの尻ポケットに押し込んだ。エレベータで1階に下りると、むつはスーパーよりも先に行きたい所があると言った。京井は承知しているようで、こくっと頷いた。山上と西原も特には文句も言わずに、先に歩き出したむつと京井の後をゆっくりとついていく。


「ねぇねぇ遥和さん。神社とかって鳥居の前で1回ご挨拶だっけ?名乗るんだよね?」


「…さぁ?そういうのは私にはちょっと分かりませんね。それも人が考えた事でしょうから…そんなに固くならずに、引っ越しのご挨拶に来ただけですから」


「まぁね。けど、こうやってご挨拶にって初めてなんだよ?緊張するかも」


鳥居が見えてくると、むつはいそいそとマフラーを外した。腕にマフラーをかけて、鳥居の前で立ち止まるとゆっくりと頭を下げた。大きな神社なようで、少し先に太鼓橋が見えているが本殿も何も見えない。むつの少し後ろで、京井も同じように頭を下げると、西原もそれに習った。山上は、むつが何のつもりで来たのか分かったのか、口の端を持ち上げて少し笑ったが、3人に少し遅れて頭を下げると、大きな鳥居を見上げた。

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