うんめいとは
引っ越し先のマンションに先に着いたむつは、コインパーキングに車を停めた。歩いてマンションまで向かっていると、ぶぉぉんっとバイクが後ろから近付いてきた。むつが立ち止まって、振り返るとバイクがきゅっとバイクが停まった。
「…これ良いな。ちょっとマフラーいじってるか?」
「うん、低い音が響くようにね」
エンジンを切ってからバイクから降りて、西原はバイクを押しながらむつと並んで歩き出した。
「…疲れた顔してんな?乗るか?」
「えー?押せる?重たくなるよ?」
「京井さんには負けるけど、むつ1人が乗ったくらいじゃ押せると思うぞ?」
「…なら、乗ろっかな」
むつがシートに手をついて、またがろうとしたが、西原はスタンドを立ててバイクを停めると、ひょいっとむつを持ち上げて座らせた。またぐのではなく横座りのように乗り、むつは西原に背中を向けるかっこうになっている。そのむつの背中から手を回して、ハンドルを掴むとスタンドを畳んでバイクを押し始めた。
「何か恥ずかしいけど、これ…」
「んー?俺は嬉しいけど」
腰をつけてバイクを支えつつ、むつを後ろから抱き締める形になっている西原は、ほんのりと笑っている。
「それに昨日だって、後ろから抱き締めたじゃんか?その時はそんな事、言わなかったくせに」
「…人目がなかったからね」
「今は、まぁ子供らが多いな。買い物帰りの主婦もちらほらいるしな。けど疲れてるだろ?ちょっと我慢しろよ」
「恥をさらしてまで、座っていようとは思わないけど?」
「うるさいな。俺がこうしてたいの」
「…しゃーないなぁ」




