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あこがれとそうぐう
むつに引っ張り回された冬四郎は、帰ってくるとぐったりとソファーに座った。疲れを見せないむつは、買った物を開け片付けると、逃げるこさめを捕まえ部屋に引っ込んだ。
何をしてるのか分からないが、がたがたと大きな物音がしたり、こさめの悲鳴のような声がしたり、むつの怒った声がしていた。
冬四郎はそれを聞きながらも、様子を見に行こうとはしなかった。しばらくすると、静かになったし余計にほっておく事にした。
「いったいわ…」
静かになり少しすると、買い物袋を持ったむつが出てきた。腕には引っ掛かれた痕がついていた。
「何してたんだ?」
むつはにんまりと笑った。だが、冬四郎の質問には答えず買い物袋から服を出すとシャツの上からあててみせた。
「どう?」
「いや、どうって言われても…ってか、スカートか?珍しいな」
「うん、私服くらいはね。あんまり着る機会はないんだけどね」
むつは次々と服をあててみたが、冬四郎は何とも言わなかった。




