表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
516/1310

うんめいとは

ワインを呑み干す頃には、顔を真っ赤にしたむつは、はぁと熱い吐息を吐き出していた。


「お前…大丈夫かよ?」


「へーき…けど、部屋戻るよ。無理」


「どっちだよ?1人で行け、ないな…」


西原は立つとむつに手を差し伸べた。椅子から下りたむつは、くらっとしたのか椅子に手をついた。


「大丈夫か?珍しいなお前…」


冬四郎が手を貸そうとすると、むつはゆるゆると頭を振ったが、すぐに額を押さえてうつ向いた。頭を動かして、気分が悪くなったのだろう。しばらく、じっとしていた。


「ん、大丈夫…しろにぃもいちにぃも呑んでて。むつはお部屋戻る…おやすみぃ」


「お、おい…西原君、悪いな。頼むよ」


「はい…むつ、ほら手」


むつは素直に西原の腕に手をかけ、ふらふらと出ていった。大人、4人はそんなむつと西原の後ろ姿を見送っていた。


「珍しいな、むつが1杯で酔ったぞ」


「体調万全でもないのに呑ませるからです」


「まぁまぁ、そう怒るなよ」


晃は、くっくっくと肩を揺らして笑っている。


「…ま、西原君なら大丈夫だろ」


「あいつらは、よく分からないよな。仲悪くはないんだろうけど…寄り戻すでもないし。けど、どっちも満更じゃないよな」


「そうなんですよね。この前、京井さんともその話になったんですけどね。むつもそろそろ嫁に行ってもいい年頃ですから」


「…晃と京井さんの好みが合うっていうのは…親心的なのが合うって事なのか?」


「あ、それもあります。でも、趣味の話とか、食事の好みとかもですよ?俺はむつ大好きですけど、常にむつの事ばっかり考えてませんよ」


「そうですか?私とお会いした時は、まず最初にむぅちゃんの事からお聞きになってますよ?」


京井に指摘されると、晃はあははと笑ってくいっとワインを呑み干すと、新たにグラスに注いだ。冬四郎は、妹を溺愛し過ぎてる兄を横目に、出ていった2人を気にするようにドアの方をちらっと見た。だが、そんな冬四郎に気付いてる山上と京井は、顔を見合わせるとゆるゆると首を振っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ